各国の中央銀行等が救済に乗り出していますが、投資家の不安の払拭にはいたっていません。
今回は、欧州市場を中心に金融不安が続いてる理由や打開策について考えてみました。
⇩金融不安や株価暴落時だけでなく投資に必須のバイブル本です⇩
金融不安の理由
1.クレディ・スイスの救済
2.永久劣後債(AT1債)
3.打開策はあるのか?
1.クレディ・スイスの救済
クレディ・スイスの業績は、2022年12月期連結決算で約1兆円の最終赤字でした。2021年4月にもアルケゴスへの投資にて約6400億円の損失を発生するなど経営不審が続いていました。2023年10月には経営不審の噂がSNS等で広がり顧客離れが起きています。その規模は、預り金の約4割の23兆円が2022年で流出したと言われています。シリコンバレー銀行も預金流出が破綻の要因です。ただクレディ・スイスが破綻するとシリコンバレー銀行の比ではなく世界的な金融危機につながる恐れがあったためスイス金融当局が救済に動き、USBの買収に繋がりました・・・
⇩市場にはサイクルがあるその理由や条件、長期投資に必要な思考のバイブル本⇩
2.永久劣後債(AT1債)
USBによるクレディ・スイスの買収が決まっても市場の動揺は収まりませんでした.
永久劣後債(AT1債)の価値がゼロ
AT1債は、金融機関が発行する社債の一つです。 債券でありながら、自己資本に算入することができます。2008年のリーマン・ショック後に、巨大銀行は経営破綻時に預金を守れるように自己資本を一定基準以上に積む国際的な規制(バーゼル規制)が課されています。AT1債は自己資本として算入することができるので多くの銀行が発行するようになりました。AT1債は、 通常の社債よりも利回りが7〜8%と高く多くのファンドや投資家が購入していました。しかし、今回のクレディ・スイスのUSBの買収でクレディ・スイスのAT1債の約2.3兆円を全額無価値にしたのです。クレディ・スイスの株式はというと、時価総額の4割減でUSB株に交換されるという、通常ならあり得ないことが起こりました。以下の表でもあるように本来なら株式から全損になりますが今回はAT1債が保護されない結果となったのです。過去に同じようなことがあった時は、AT1債だけでなくもちろん株式も無価値になっています。
◆銀行の金融商品◆
想定外・投資家心理の悪化
欧州中央銀行等が「AT1債は株式より弁済順位が高い」とアナウンスをしていますが、投資家心理の安定化にはいたっておりません。なぜなら以下のとおり、欧州の主要銀行のAT1債の比率が高いため業績悪化が懸念されています。その額は2020年で9月末で約34兆円で、発行機関の8割は欧州の銀行なのです。
◆欧州各銀行のAT1債の比率◆
⇩人はなぜ運や偶然を実力と勘違いするのか⇩
⇩投資をするなら1度は読んだ方がよい名書⇩
3.打開策はあるのか?
AT1債は、一般的な債券と異なり、発行期間中は一定期間の利息の支払いを行うものの、償還期間がないのですが、銀行は繰り上げ返済をし、借り換えを行っています。ただし、借り換えによって発行元が負担する手数料や金利の上昇などが発生することがあります。2023年6月には欧州主要銀行のAT1債の繰り上げ返済のタイミングを迎えます。現状から勘案すると「購入者が減り」「利回りが上昇」し「コストが大きく」なる可能性があります。繰り上げ返済を見送れば経営状態が悪化しているとみなされる可能性が高いです。さらに発行者の財務状況が一定の水準を下回るようなら、利息の支払いが停止されることもあり、そのようなことになるとパニックは更に増すことになるでしょう。現状では有効な打開策はでてきてませんが、あったとしても将来の金融バブルの崩壊につながらないか留意が必要です。
https://lit.link/nonbirimanabo
コメント